『ネットで儲ける王様のカラクリ 物語でわかるこれからのWebマーケティング』(技術評論社)


同窓会で再開した、ネットショップを運営する大手IT企業に勤める平木と、家業の花屋を継いだ城之内。落雷にあって2人の意識が入れ替わり……と、トンデモ設定から始まる小説仕立ての本ですが、中身は深いです。Web周りを仕事にしてる人には是非読んでおいて欲しい一冊。

花屋の平木が、城之内が勤める大手IT企業にネットショップを作ってもらおうとしていたところ、それを聞いた平木は止めるように勧める。そこへ落雷で入れ替わり「ホームページを作って儲けましょう」という話の裏側が明かされていくストーリー。同時に、店舗側ではどのようなことを考えていくべきなのかも語られていく。

小さなWeb屋としては、お客さんと一緒に読みたくなるような話でした。

Webはあくまで媒体の一つとして、経営戦略の一環の中で主体的にその活用を考えなきゃだめ。

ただ、専任でも兼任でも、しっかりしたWeb担当者を用意できる会社、この本では花屋の平木の体に入った城之内(ややこしい)のような人間を用意できる会社はいいとして、そうじゃない場合はどうしたらいいか。

信頼できるWeb屋さんと二人三脚でやればいいんじゃないですかね。信頼できるかどうかは結局、人と人との問題なので、そこは騙されないように見抜くしかないんですけれど。

私はよく小さな会社や店舗向けのセミナーや雑談の中で、「今のサイトを作ってくれた相手など、お付き合いのあるWeb屋さんにまず、腹を割って何でも色々相談してみてください」と話しています。「もしいなければ、紹介するなり、うちでお話聞くなりするんで、仰ってください」と、軽く営業トークも交えつつ。

同じようによく言ってるのは、「うちみたいな小さなWeb屋さんは、かかりつけのお医者さんみたいなもの。ホームドクターとして、気軽に何でも相談して、親しく付き合ってください」というような話も。お医者さんと一緒で、分野によっては得手不得手もあります(たぶんお医者さん以上にあります)が、色んな専門家と付き合いがあるので一次窓口としてまずは相談。普通、不得手な分野なら得意な先を紹介してくれます。「メス持ったことないけどうちで執刀しますよ」なんてとこは、まっとうなWeb屋さんなら、まあ少ないです。(笑)

ただなんにしても、やはり大事なのは、主体的に関わること。色々口を出せ、というわけではなくて、「全部任せるから好きなようにやっちゃってー」ってなっちゃだめ、と。情報や状況を伝え、どうしたいのか伝え、一緒に考えるところは一緒に考える。だって、その会社のことも、その業界のことも、普通はWeb屋さんより当人の方が精通してるはずですもん。その部分を任せちゃったら、それだけ弱い仕上がりになるのは必然。

だから、Web屋さんに頼むのなら、ちゃんと二人三脚で。そうでないなら、この本のように自力でやったほうがまだいいかもしれません。手間や時間含めてコストはかなりかかりますが、知識は残りますしね。丸投げしてお金だけ出ていくよりはまだ、ね。(笑)